今までは、SEPP回路の上の球がゲイン1、下の球が数倍はあると思われてきたのに、前回のゲイン比較表では、8Ω負荷に対し上下の球どちらもゲイン=1以下とかなり低く、その差もそれほど大きくないとわかりました。

6GB3A 4本パラレル
8Ω負荷
バイアス電圧 (−V)
0〜10 10〜20 20〜30 30〜40
下(プレート側)ゲイン 0,59 0,49 0,34 0,26
上(カソード側)ゲイン 0,4 0,35 0,27 0,21

それならば低インピーダンス負荷を前提にしたOTLでは、上の球に無理して打ち消し回路を設け、ゲイン上昇を行うよりも、下の球にP-G間全帰還をかけてゲインを揃えた方が、むしろてっとり早いのではないでしょうか。

しかも高電圧と出力トランスを使う真空管アンプにとって、出力段のゲインは極めて重要な反面、スピーカー直結のOTLでは30V程度出力できれば十分なため、ゲイン低下は問題になりません。

同時に出力段の内部抵抗や歪も低下し、トータルの負帰還量も少なくてすみます。つまり出力段をドライバーのインピーダンス変換バッファに近いものとして使うわけです。





この場合出力段やドライバー段(位移反転段)はあまりキャラクターが反映されないので、初段に凝るのも面白いでしょう。

もともとOTLでは出力管固有の音色などは無視され、「8Ω負荷で何ワット出た。」といった、トランジスタアンプでは死後のような話題が、自慢話の中心になっています。

真空管OTL登場の初期、専用スピーカーは200〜400Ωだったため、打消しは必須回路でした。しかし低インピーダンス負荷になってもそれは変わることなく、ずっと続いていたわけです、

そこには真空管回路において常に、カソードフォロワ=ゲイン1倍、プレートフォロワ=ゲイン数倍という思い込みがあったからでしょう。



つづく







その3、よりシンプルな回路
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